2022年03月08日

コミックスレビュー追加(2/5)

「廻生のカリカチュア」
轟斗ソラ・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)

制服によって差別が明確化されている学園に通う少年は、存在しないはずの兄が自分をかばって死ぬ夢を毎晩見ていた。そして、1人の少女と出会うことで運命が動き始める。
ほぼ謎解きがないまま打ち切りになってしまった作品で、読んでもモヤモヤしか残らない。
不思議の国のアリスがモチーフになっているが、他の作品との差別化はあまりできていない。
絵がきれいなことだけが救い。

「賭ケグルイ」
尚村透・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
ギャンブルが推奨される学校にギャンブル狂の少女が転校してくる。少女は大金をかけた様々な特殊ルールのあるギャンブルに挑んでいく。
ギャンブルに勝ったとき、負けたときの顔芸を楽しむ作品。
ギャンブル自体も一捻りされているものが多く、そちらも楽しめる。
登場キャラも個性が強くていい。

「賭ケグルイ双」
斎木桂・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
上記作品のスピンオフ作品。
上記作品は主人公が高校2年生だが、本作はクラスメイトのサブキャラ・早乙女芽亜里が1年生のときの話となっている。
本編主人公の夢子が運にも頼るのに比べて、芽亜里は徹底した合理主義者で確率的に分のいいものを取っていくところが差別化されている。
絵柄も本編に近いものがあり、違和感なく読める。

「賭ケグルイ妄」
柊裕一・全4巻・スクウェア・エニックス(マンガUP!)
★ ★ ★
上記作品のスピンオフ作品。
サブキャラ・生志摩妄が主人公。
本編が始まる少し前、妄が美化委員長になった直後の話で、運や戦略関係なくその場の勢いでギャンブルをしていく姿が描かれている。
話があまり広がらないまま中途半端なところで終わってしまった印象があり、本編との関わりも希薄で微妙だった。絵はきれいなのだが。

「花燭の白」
高山しのぶ・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
体に花を咲かせ、それが鬼の食事となる花燭となった少女と鬼の物語。
舞台設定は大正頃となっていて、街の雰囲気などがいい感じに再現されている。
自分に自信の持てない主人公が鬼に見初められて戸惑いながらも愛される、という基本設定が理解できれば割と楽しく読める。普通に読むだけだとそこがわかりにくい。

「かつて魔法少女は悪と敵対していた」
藤原ここあ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
オラオラ系マスコットに魔法少女にされてしまった貧乏少女が、悪の組織の幹部に一目惚れされて、敵対しているように見せかけて愛されまくる、という話。
テンポのいいギャグと個性的なキャラが魅力で、確実にアニメ化されるくらいのクオリティがあった。
しかし、作者急逝のため打ち切りとなってしまった。それが非常に惜しまれる作品。

「彼女の腕は掴めない」
理央・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
体の欠損を愛するというアポテムノフィリアの青年が、生まれつき両腕のない女子高生をたまたま街で見かけて誘拐してしまう。少女は逃げ出すことのできる状態でも逃げ出さず、青年と暮らすことにする。
第1話にかなりインパクトのある作品だっただけに、その後は尻すぼみな感じになってしまったのが残念。
青年と少女の微妙な距離感は割と良かったのだが。

「神クズ☆アイドル」
いそふらぼん肘樹・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
顔はいいのに全くやる気のない男性アイドルに、夢半ばで事故死してしまった女性アイドルの霊が取り憑く。2人は時々入れ替わりながらアイドル活動を続けることになる。
全くやる気のない主人公とやる気に満ち溢れるヒロインのギャップを楽しむ作品。
絵はあまり上手くはないが、話のテンポはよく、楽しく読める。

「騎士団長島耕作」
宮本福助・全3巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
島耕作シリーズのスピンオフ作品。
異世界の騎士に転生した島耕作。異世界なのに彼の近くには前世で見知った顔が多くあり、前世の知識を活かして問題を解決していく。
一見するとイロモノの異世界転生系の話だが、なかなかどうして、結構面白く読める。
本編の人間関係を知っていた方が面白く読めるが、知らなくてもわかるように描かれている。
食わず嫌いせずに読んでみるといいかも。

「教国のレクエルド」
もち・全2巻・スクウェア・エニックス(Pファンタピー)
★ ★ ★
「魔女の下僕と魔王のツノ」(マ行参照)のスピンオフ作品。
本編主人公のアルセニオとサウロの過去が描かれている。
ここから本編につながっていくので、そこまで後味のいい終わり方にはなっていない。あくまで本編を読んでいる人向け。ただ、本編を読んでいるなら買って損はしない内容になっている。

「繰繰れ!信楽さん」
宗一郎・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
上記作品のスピンオフ作品。信楽が主人公の話で、ちゃらんぽらんに見えて陰ではちょっといいこともしている、という姿が描かれている。
本編の人間関係を知っている前提の話ではあるが、そこまで本編と話が絡んでいないので、単体としてそれなりに読める。

「クツナシ姫」
赤夏・全1巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★
10年に1度の祭りのときだけしか素足で土に触れることのできない巫女の少女と靴屋の青年の物語。
その他何本かの短編が収録されており、作者らしさがよく出ている。
表題作が1番面白いので、他の作品が小粒な印象。

「ケーキの切れない非行少年たち」
鈴木マサカズ・講談社(くらげバンチ)
★ ★ ★ ★
少年院に収容されている少年少女はIQが70~80くらいの子が比較的多く、一般の人よりも我慢が効かなかったり思い込みが激しかったりする。そういう少年少女に向き合う精神科医の話。
実話をもとにした作品で、気付きにくいけれどこの世界にはこういう人たちがいる、というのを教えてくれる。人との向き合い方などを改めて考えるきっかけになる作品。

「恋するみちるお嬢様」
若林稔弥・全2巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
家庭教師に恋をした女の子と、それに気付きながらもからかい続けるドS家庭教師の話。
からかわれるみちるお嬢様を見て楽しむ作品で、みちるを見ていると心が温かくなる。
もっと続いてもよかったが、短い期間で連載終了してしまった。

「「子供を殺してください」という親たち」
鈴木マサカズ・講談社(バンチ)
★ ★ ★ ★
民間救急会社を営み、家族で手におえなくなった人たちを医療につなげて救おうとする主人公が出会った人たちの話。
精神疾患、発達障害、様々な理由で問題行動を起こし、親が手に負えなくなって最後に頼る場所にいるのが主人公なので、様々な修羅場が描かれている。
実話をもとにしているので、綺麗に終わるエピソードもあるが、道半ばで終わってしまうエピソードも多々ある。
心を抉ってくる話が多いので、読むだけで精神力を消耗してしまうが、引き込む力も強い。
世の中ではこういうことが起こっているんだ、というのがわかる作品。

「ゴミ清掃員の日常」
滝沢友紀・全2巻・講談社(描き下ろし)
★ ★ ★
普段はお笑い芸人をしているものの、それだけでは食べていけないのでゴミ清掃員をしている青年の話。
ゴミ清掃員あるあるから始まり、こういうゴミの捨て方をしてくれると嬉しいとか、こうされると困るとか、ゴミ清掃員の視点から見た話が新鮮で面白い。
ネタ自体はかなり面白いのだが、絵があまり上手くないので、全体的にちょっと読みにくいのが難点。

「災禍の神は願わない」
尾羊英・全2巻・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
古代エジプトで兄王オシリスの殺害容疑で処刑されてしまったセト。しかし、気が付くと5年前の世界におり、兄も生きていた。兄の運命を変えるため、セトは動き始める。
世界がループするのではなく、1度だけ過去に戻ってやり直す話。それだけに失敗できないというプレッシャーも感じられ、話に引き込まれる。
短い巻数できれいにまとまっている。

「Jヲタ男子朝比奈くん」
七海慎吾・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
頭もよくてスポーツも万能な朝比奈くんは、国民的アイドル集団ジョーカーズの熱狂的なファンだった。
それを知らずに告白した少女は、朝比奈くんにジョーカーズファンの同志だと勘違いされ、様々なジョーカーズ知識を叩き込まれる。
作中では名称がぼかされているが、端的に言えばジャニーズファンの男子を描いた話。
ジャニーズファンあるあるがたくさん盛り込まれていて、ジャニーズファンの思考から普段の生活まで、熱狂的なファンはこんな感じ、というのがわかる。
ネタがワンパターン化する前にきれいに終わってくれた。

「死神と銀の騎士」
イロノ・全6巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
死神とその使い魔であるラルヴァと戦う銀の騎士。幼い頃に大切な人を死神に殺された少年は銀の騎士となるが、任務途中でラルヴァとなってしまう。
正統派の王道ファンタジー。ただ、所々に捻りがあり、ベタな展開にならないようにしているところには好感が持てる。
絵は安定していて上手い。

「渋谷金魚」
蒼伊宏海・全11巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★ ★
ある日の渋谷に突如人食い金魚が大量発生し、渋谷の街は巨大な金魚鉢の中に閉じ込められてしまう。
そこにいた人たちが金魚から生き延び、金魚を全滅させるために戦うサバイバルパニックホラー。
なぜ舞台が渋谷なのか、なぜ金魚なのかが明確化されていて、終始話に緊迫感がある。
整合性がキッチリとれた形で最後はきれいに完結した。
パニックホラー系の話でキッチリきれいに完結した作品を読んだのはこれが初めてだった。

「〆切はおとといです。」
team.きんだいち・全1巻・スクウェア・エニックス(マンガUP!)
★ ★ ★
漫画家・金田一蓮十郎の漫画制作現場での裏話を描いた作品。
漫画制作現場での裏話というコンセプトなのに、内容の8割くらいはハロプロの話となっていて、読みたいのはその話じゃない、と思うことが多々あった。
ハロプロが好きな人ならきっと楽しいのだろうが……

「白井カイウ×出水ぽすか短編集」
白井カイウ×出水ポスカ・全1巻・集英社(ジャンプ等)
★ ★ ★
「約束のネバーランド」(ヤ行参照)コンビによる短編集。
シリアスなものからコメディタッチのものまで幅広くあるが、「約束のネバーランド」のクオリティを求めてしまうと、どうしても劣っていると感じてしまう。
むしろ、「約束のネバーランド」の後日談が掲載されているので、そのためのコミックスと言ってもいい。

「白石君の動級生」
チノク・既刊2巻(立ち消え)・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
引っ込み思案で人とうまくコミュニケーションが取れない少年は、高校入学時の手違いで人間に変身することのできる動物たちが通うクラスに振り分けられてしまう。
クラスメイトと触れ合ううち、少年は次第に心を開いていく。
設定はそこまで珍しいものではないのだが、序盤から作者が話を描きにくそうにしているな、という印象があった。それがどうも正解だったようで、2巻は何とか発売されたが、以降は描けなくなってしまったようで、連載は立ち消えてしまった。
前作よりも絵が安定して、イケメンがキッチリイケメンに描けていたので期待していただけに、残念。

「新世紀エヴァンゲリオン」
貞本義行・全14巻・角川書店(エース)
★ ★ ★ ★ ★
14歳の少年少女が人型兵器に乗って謎の敵と戦う話。
テレビアニメ版と旧劇場版がベースになっているが、どちらとも違う結末になっている。少なくとも旧劇場版よりは納得できる結末になっている。
展開もテレビアニメ版とは所々違っており、それを見比べるのも楽しい。
最終話では主人公の両親の大学時代が描かれ、新劇場版の登場人物も出てきているのはうれしいところ。

「聖女の揺籠、毒女の柩」
夏海ケイ・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
虐待されて育った兄弟は、両親の死をきっかけに孤島の孤児院へ入園することになる。
しかし、そこは1人のシスターによって支配され、仲間同士を監視し、殺人がまかり通る地獄だった。
島からの脱出を試みる序盤は割と定番な展開だが、それ以降シスターがかなりえぐいことをし出すと面白くなってくる。
しかしながら話は中盤の段階で打ち切られてしまい、ほぼ何の解決もしないまま完結してしまった。
予定では残り10話くらいあったことが最終巻に記されている。

「制服のヴァンピレスロード」
松本トモキ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
見知らぬ男に突然血を吸われて吸血鬼になってしまった少女。
少女は吸血鬼とはどんなものかというのを学びつつ、クラスメイトの女子たちを吸血していく。
わりとストレートな百合マンガ。吸血は性的快感を伴うという設定があり、女の子同士でも性的快感を共有できる、ということになっている。
絵はきれいなので、百合が好きで絵が気に入れば買ってもいいかも。

「戦隊レッド異世界で冒険者になる」
中吉虎吉・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
戦隊ヒーローのレッドが異世界転生をして旅に出る話で、変身・必殺技・巨大ロボなどの戦隊ヒーローのお約束が一通り出てくる。ただし、グリーンやイエローなどの仲間は回想シーンにしか出て来ない。あくまで戦隊レッドのみの話となっている。
いい意味で暑苦しい話で、戦隊ヒーローを見たことがあるなら楽しめる内容。
絵は全体的にゴチャゴチャしているので、ちょっと読みにくい。

「双翼の武装使い」
sanorin・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
人類が滅亡に向かおうとしている中、規格外の身体能力と頭脳をそれぞれ持つ2人が能力武装を手に入れて世界を救うために立ち上がる、という話。
主人公2人が無双していく話なので、基本的に読んでいてスカッとする展開が多い。
全体的に王道ではあるが、絵が上手いので結構読ませてくれる。

「続・〆切はおとといです。」
team.きんだいち・全1巻・スクウェア・エニックス(マンガUP!)
★ ★ ★
「〆切はおとといです。」(サ行参照)の続編。
基本的にやっていることは同じで、8割がハロプロの話というのも前作同様。
ドラマ「ゆうべはお楽しみでしたね。」の裏話など、こういうのが読みたかったんだよ、と思える話もあるにはあるのだが、数は少ない。

「その恋はいちごのように」
イロノ・全4巻・スクウェア・エニックス(Pファンタピー)
★ ★ ★ ★
祖父が骨折で動けなくなってしまったため、祖父が営むいちご農園を手伝いに来た女子大生の少女。少女はそこでひと回り年上の青年からいちご栽培を教えてもらうことになるが、次第に2人は惹かれ合っていく。
いちごの栽培と初々しい年の差カップルを見て楽しむ作品。
話はテンポよく進んでいき、中だるみすることなくきれいに完結してくれた。
コミックスには大量の描き下ろしがあり、各キャラをそれぞれキチンと掘り下げているので、一見の価値はある。

「空のグリフターズ~一兆円の詐欺師たち~」
加藤元浩・講談社(月刊マガジン)
★ ★ ★
祖父の借金100億円のカタとして生まれ育った島を奪われた少女。その島を取り戻すため、少女は自分に従えば100億円が手に入るという謎の少年と行動を共にすることになる。
1巻の冒頭に少女たちが詐欺師として逮捕されたと報道される場面があり、少女たちの取り調べ場面が時折入りつつ過去が語られていく形で話が進行していく。
詐欺の手法は割と現実感のあるもので、これなら騙されるかも、と思わせてくれる。
終わりが決まっている話のようなので、そこまでキッチリ描かれることを期待している。
posted by minerva at 16:28| Comment(0) | 漫画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月05日

コミックスレビュー追加(1/5)

コミックスレビューを今回含め全5回で更新します。
いずれ「MINERVAのお部屋・アーカイブ」に組み込んでいく予定なので、「上記作品」とか「ア行参照」とかを既に入れ込んでいる状態で書いています。
思い出せる限り思い出して書きましたが、抜けている作品も多分たくさんあるので、いつかコロナが落ち着いて実家に帰るときがきたら抜けている分のレビューを補完していきたいと思っています。
では、第1回目の更新内容です。


「天誅×新曲(アイウタ)」
よしだもろへ・既刊2巻(打ち切り)・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
田舎の村に暮らす少年少女たちは、癒しの力を持つ不思議な少女と出会う。その出会いから事件が起こり、幼馴染たちはバラバラになってしまうが、数年後再会することになる。
序盤の引きはかなりよいのだが、ラスボスがチラ見えするくらいの話としてこれからというところで作者が連載を続けられなくなったというアナウンスがあり、終了してしまった。
絵も話も上手かっただけに、残念。

「アインシュタインの怪物」
宮永龍・全3巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
村人から忌み嫌われて村はずれで密かに暮らしていたアインシュタインは、不慮の事故で死んだ少年をフランケンシュタインとして蘇らせる。2人は安住の地を求めて旅に出る。
話の雰囲気に合ってはいるが、とにかく人を選ぶ絵なので、手に取って読んでみようと思えるところまで行くのが第一関門。実際に読んでみると、切ない雰囲気がなかなかいい。
終わり方も割ときれいだった。

「あおざくら防衛大学校物語」
二階堂ヒカル・小学館(サンデー)
★ ★ ★ ★
金銭的問題で大学進学をあきらめていた少年は、ただで勉強ができる上に給料も出るという理由で防衛大学に入学する。防衛大学で過ごすうち、少年は自衛隊という組織を知っていく。
防衛大学の中ではこういうことが行われている、というのが一通りわかる作品。
綿密な取材が行われており、巻末のインタビュー内容が作品内反映されているなど、いろいろためになる。
巻末インタビューに当時の統合幕僚長が出ているなど、自衛隊の協力がうかがえるのもいい。
防衛大学ってどんな場所?、と考えたことがあることなら間違いなく楽しめる。

「紅い霧の中から」
野原もさえ・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★ ★
暗殺者の息子として生まれた少年は、幼い頃から殺人方法を母親に仕込まれる。後に母親と死別し、様々な施設や家を転々する中で、少年は多くの人を殺していく。
序盤から話が二転三転するので、いい意味で先が見えない。
絵も残酷描写が上手く、暗い雰囲気があるところが作品と合っていてよい。

「アクタージュact-age」
宇佐崎しろ・既刊12巻(打ち切り)・集英社(ジャンプ)
★ ★ ★
役に深く入り込む能力を持つ少女が1人の監督に見出され、次第に女優として成長していく物語。
主人公がどうやって役に入り込んでいくのか、周りの若手俳優たちがどういう思いで役者をやっているのか、などの心理描写が上手く、話に引き込まれる。
憑依型だけでなく、様々なタイプの役者を描いているのもいい。
残念ながら原作者が刑事事件を起こして逮捕されてしまったため、大河ドラマの撮影が始まる直前という非常に中途半端なところで終わってしまった。

「悪魔も踏むを恐れるところ」
吉辺あくろ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★
魔界の王を決めるため、人間と契約して戦いに臨むことになった悪魔の少女。しかし、漫画の原稿に描かれた魔法陣によって召喚され、変態漫画家と契約してしまう。
前作「絶対☆霊域」(サ行参照)とやっていることは似ているのだが、序盤からキャラが多めに登場して全体的に薄い印象。主人公の真面目悪魔が変態漫画家にいろいろもてあそばれているだけでよかったのに、手を広げ過ぎてしまったように感じた。

「悪の華道を行きましょう」
やましろ梅太・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した少女は、ヒロインに嫌がらせをした報いでガマガエルそっくりで黒い噂だらけのものすごく年上の宰相と結婚させられてしまう。しかし、前世で枯れ専だったことを結婚式の最中に思い出し、宰相を本気で好きになってしまう。宰相と少女は2人で悪の道を進むことになる。
単純な悪役令嬢×年の差ものではなく、主人公と宰相がいいこともすれば悪事も働くという二面性を持っているので、読んでいて意外性があって楽しめる。
絵も安定して上手い。

「あさドラ!」
浦沢直樹・小学館(ビッグコミック)
★ ★ ★
大家族の娘として生まれた少女は、伊勢湾台風の日に巨大生物の足跡らしきものを見つける。それから数年、飛行機の操縦士になった少女は極秘裏に巨大生物と戦うことになる。
第1回東京オリンピックが開催された頃にゴジラ的な巨大生物が襲ってきたら……という想定で描かれているので、当時の雰囲気と特撮が好きなら面白く読めると思われる。
全体的に話の進むペースが遅く、巨大生物がなかなか出て来ないところなどが結構もどかしい。

「あの夏のイヴ」
如月命・全3巻・スクウェア・エニックス(マンガUP!)

古い言い伝えや掟が存在する田舎の村で凄惨な事件が起こる。村では野犬の仕業だと処理されるが、それを不審に思う主人公たちが独自に事件を調べ始める。
一言で言えば「ひぐらしのなく頃に」の劣化版。
序盤の事件発生時は引き込まれる展開だったが、最終的な謎解きが結構酷い。超能力で殺人をしましたというレベルで、到底納得できるものではなかった。
最後はいい意味でのバッドエンドだったが……

「遺書、公開。」
陽東太郎・全9巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★ ★
始業式の直前、とある私立中学の2年D組の生徒全員に序列と名付けられたランキング表が届く。その序列で1位とされた少女が、ある日学校のトイレで首を吊って自殺してしまう。その少女の葬式当日、学校に戻ると全員の机の上に自殺した少女からの遺書が置かれていた。D組の生徒たちはクラスメイト全員の前で遺書を公開して、少女の自殺の理由を考察しようということになる。
遺書が順番に公開されていく中で自殺の理由と思しき事は二転三転し、序列1位の少女をクラスでどう扱っていたのかが明らかになっていく過程は目が離せなくなる。
全員分の遺書が公開され、最後はきれいにまとまっている。ただし、ハッピーエンドというわけではないので、そこだけは注意。

「犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい」
松本ひで吉・全7巻・講談社(Twitter)
★ ★ ★ ★
元気いっぱいで素直すぎる犬とツンデレな猫を飼っている作者のエッセイマンガ。
性格が真反対の犬と猫の対比が面白く、全編気楽に読める。
作中で犬と猫が高齢化してきたところで一旦完結したのはいい判断だったように思う。

「異能メイズ」
山田J太・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★
凄惨な事件や行方不明事件が多発するとある街。事件の原因は異能を持った誰かが迷宮を作り、中に閉じ込めた人たちを異能で殺していたためだった。迷宮から脱するには異能を持つ人物と異能の正体を明らかにしなければならない。事件に巻き込まれた少年と少女が異能絡みの事件を協力して解決していく。
登場する異能が割と捻られた設定のものが多いのはよかったが、その分話が少しわかりにくい。
終盤は思わぬ人が死んだりするなど意外な展開も多くてよかったのだが、全ての謎が解明される前に終わってしまった。ラスボスがこの人だろうな、というところで終わってしまったのが残念。
絵は全編通して安定していて上手かった。

「イノセントデビル」
宗一郎・全4巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
サイコパスなどのシリアルキラーは人類の進化した姿ではないのか、という学説を発表した天才科学者と、かつてシリアルキラーだった少女の物語。
全編通して個性強めなキャラが多いところはいいのだが、全体的に話がちょっと分かりにくい。
絵はきれいで読みやすかった。

「ヴァニタスの手記」
望月淳・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)」
★ ★ ★ ★
人々の陰に隠れて吸血鬼が細々と暮らしている19世紀のフランス。
吸血鬼が暴走して人を襲うという事件が発生し始め、その吸血鬼を治療するというヴァニタスという青年と、ヴァニタスと行動を共にする吸血鬼の青年の物語。
現在の世界と19世紀頃に分岐したような世界観で、様々な個性的なキャラが登場してきて引きつけられる。
序盤からそれなりに謎解きが入りつつ進むので飽きさせないし、絵もかなり描き込んでいて美麗。
話の盛り上がり方もいい感じ。
登場人物が多いので、把握するのがちょっと大変。

「詠う!平安京」
真柴真・全6巻・スクウェア・エニックス(Gファンタジー)
★ ★ ★
修学旅行で京都を訪れた少年は突然平安時代にタイムスリップしてしまう。そこで出会った在原業平に天女と間違えられた少年は、真の歌人に詠まれた和歌はその内容が現実になる事実に驚かされる。現代に戻る方法を探しつつ、少年はしばらく平安貴族の暮らしを送ることになる。
時代考証はそれなりにしっかりしつつも、内容はファンタジー色が濃い。内容はシリアスというよりもギャグ寄りで、在原業平に主人公が振り回されるのを楽しむ感じ。
最後はきれいにまとまっていた。

「うっかり体育大生」
もすこ・全1巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★ ★
マンガ家志望なのに楽しそうだからという理由で日本女子体育大学に入学してしまった作者のエッセイ。
体育大学はこんな場所、というのがわかる内容で、体育大学のトリビアが詰まっている。
日本女子体育大学が全面協力しているので、内容にリアリティがあって楽しめる。

「海が走るエンドロール」
たらちねジョン・秋田書店(ボニータ)
★ ★ ★ ★
夫に先立たれた65歳の女性が、たまたま入った映画館で知り合った美大生から、映画を見るのではなく撮りたいのではないか、と言われ、美大に入学して映像を学んでいく話。
65歳からでもやってみようと思えばまだやりたいことが出来るんだよ、というのを教えてくれる作品。
読んでいると何かに踏み出す勇気が与えられるような気がしてくるところが素晴らしい。
映画を撮ろうと決意するときに出てくる海のシーンが印象的でいい。

「裏世界ピクニック」
水野英多・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★
廃墟探索が趣味の女子大生が偶然現実世界とは別の次元・裏世界を発見し、探索するようになる。そこで死にかけたときに助けてくれた同じ大学の女子生徒と共に、2人は裏世界を探索していく。
裏世界では様々な都市伝説をベースにした異形の生物が登場してくるので、都市伝説好きの人なら楽しめる。
非常に上手く作画されているので、裏世界の雰囲気が良く伝わってくるのもいい。

「18エイティーン」
ヨシノサツキ・全3巻・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
父親が様々な仕事に手を出しては辞めていくことを繰り返しているため、数限りない転校を繰り返した少年とその妹は、少年が18歳になったとき、とある田舎町にやって来る。
誰とも深い交流をするつもりのない少年だったが、転校先の高校にはやたらと絡んでくる金髪の少年がいた。
父親とクラスメイトに振り回されて気苦労が絶えない主人公を見て楽しむ作品。
話としてもっと続いてもおかしくなかったが、割と短期にキリの良いところで終わってしまった。
明確な結末がないので、読み終わると少しモヤモヤする。

「大家さんと僕」
矢部太郎・全2巻・新潮社(小説新潮)
★ ★ ★ ★ ★
芸人・矢部太郎が8年間住んでいた、一階は大家さんの自宅、二階が賃貸という二世帯住宅型一軒家での大家さんとの交流を描いた作品。
年齢が倍以上違う大家さんとの距離感に最初は戸惑いつつ、次第に親密になっていく過程が微笑ましい。
連載中に大家さんが亡くなっているため、大家さんの葬式までが描かれ、作品としてキッチリ完結している。
読んでいると癒されたりホロリときたり、感情が揺さぶられる。

「「大家さんと僕」と僕」
矢部太郎・全1巻・新潮社(描き下ろし)」
★ ★ ★ ★
上記作品の番外編的な作品で、作品に関わる様々な人へのインタビューや裏話などが掲載されている。
作中に登場する先輩の元ネタになっている芸人、陽気な後輩へのインタビューのほか、感動を呼んだ手塚賞授賞式のスピーチ全文など、読み応えがある。
上記作品が好きなら間違いなく買い。
描き下ろしのマンガも面白い。

「All You Need Is Kill」
小畑健・全2巻・集英社(ヤングジャンプ)
★ ★ ★ ★
異星人に襲撃を受ける地球で、死ぬ度に記憶を保持したまま時間をループすることに気付いた青年が、己を鍛えあげて異星人と戦う中でどうにかしてループを抜け出そうとあがく話。
主人公がループに気付いてから終わりに向かって盛り上がっていく流れにはかなり引きつけられる。ヒロインもいい感じ。
原作準拠で終わり方がきれいなハッピーエンドではないのが少し残念。

「おじさまと猫」
桜井海・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★ ★ ★
妻に先立たれた元有名ピアニストのおじさまが、ペットショップで売れ残っていた猫を飼う話。
猫を飼い始めたことで、おじさまの生活が少しずつ変わり始める。
序盤は猫とおじさまの交流がメインでギャグエッセイ的な雰囲気だが、次第に人間関係などが広がっていってストーリー漫画になっていく。
ジーンとさせる演出が上手く、特に亡くなった妻の描写がいい。
読んでいると癒される。

「乙女ゲー転送、俺がヒロインで救世主!?」
辻本ユウ・スクウェア・エニックス(ガンガン)
★ ★ ★
妹がハマっている乙女ゲームの世界に手違いで転送されてしまった少年は、なぜかゲームの中ではヒロイン役になっており、様々なイケメンキャラに言い寄られてしまう。下手に好感度を上げると個別ルートに入ってしまうため、少年は好感度を上げないように努力しつつ、現実世界へ帰る手段を模索する。
好感度をあえて上げないように努力したり、転生ではなく転送なので現実世界から妹のアドバイスが届くなど、それなりに捻られている設定がいい。
王道なゲーム内のキャラ設定にツッコミを入れつつ進んでいく話もなかなか楽しい。

「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった...」
ひだかなみ・一迅社(ゼロサム)
★ ★ ★ ★
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったものの、ゲームが始まるまでまだ猶予期間のある8歳で前世の記憶を取り戻したため、少女は前世の記憶を頼りに時間をかけて破滅フラグを回避する計画を実行していく。
序盤は前世でのゲームの記憶を頼りに破滅フラグを回避しようと努力する姿が描かれていてよいのだが、中盤以降はその結果主人公が人たらし能力を発揮して全ての人が主人公に惚れている状態が誕生してしまう。そうなると話の方向性がちょっと違うように感じられて、次第に勢いがなくなっていくように感じられるのが残念。
ゲーム本編が終わる辺りまでの話ならいいのだが。

「お従兄さんの引っ越しの片づけが進まない」
吉辺あくろ・全5巻・スクウェア・エニックス(ガンガンJOKER)
★ ★ ★
幼い頃から憧れていた従兄が大学進学を機に同居することになる。
少女なりに従兄にアプローチするものの、思うように思いが伝わらない上に、従兄は少女の弟に女装させて楽しむような変態だった。
相変わらず憎めない変態を描かせたら上手いな、と感じる。ただ、登場人物のほとんどが血縁関係で、いとこ同士は結婚できるとはいえちょっと血が近すぎるのでは……と思ってしまう部分もある。
話は下手に引っ張らずにきれいに終わっている。
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2020年09月28日

紅心王子・完結

次のガンガンの感想と一緒に更新しようと思っていたのですが、思いの外長くなったので別記事として更新します。

先日最終巻が発売された「紅心王子」。
17巻と18巻が同時発売だったのですが、17巻は丸々ガンガン掲載分でした。そして18巻に関しては、最後の掲載がもう5年前くらいなので、どう終わっていたのか記憶も曖昧というのもあり、おおよそですが80%くらい描き下ろしの感じでした。
終わり方はハッピーエンドで、打ち切りとか無理矢理まとめたという感じでもなく、これは想定通りの終わりなんだろうな、と感じるのと同時に、この残り100ページくらいを5年くらい描けなかったというのは相当深刻に体調不良だったのだろうな、と思いました。
画力が落ちている感じもなかったので、絵は描けるけど漫画は描けないとかだったのかも、とも。
イラストなら描けるけど漫画とかストーリーを描けなくなってしまう作家さんはそれなりにいますから、桑原さんがどうだったのかは別として、理由はどうあれ絵は描き続けていたのだろうな、とも思いました。

それで、最後のあとがきで「桑原草太としての活動はこれで最後」「絵を描く仕事は続けていく」とあり、どうやらこれまでの実績を捨てて別名義で活動するようで、それもそれでビックリしました。
ガンガン本誌での連載はもうやらないにしても、ガンガンONLINEで不定期掲載で連載するとかはあり得ると思っていましたし、ガンガンONLINEでのリバイバル連載はその布石なのではないかとも。
それがもう桑原草太として活動しないなら、これはスクエニ系雑誌で描くことはもうないだろうな、と感じました。

俳優さんが音楽活動するときとか、声優さんがギャルゲーに出演するときに別名義にするというのはよくある話ですが、漫画家さんが別名義にするときはもう全く別ジャンルで活動するときが大半なので、何か作品を発表するにしても完全少女漫画になるとか、作画しかやらないとか、今までとはいろいろ違ってくる気がします。
別名義について有名なところだと河下水希さんは少年漫画名義で、少女漫画だと桃栗みかんに変えているとか、藤野もやむさんが再デビューで桑佳あさに変わったとか、古いところだと西川秀明さんがエロを描いていた時はまみやこまし名義だったとか。
同人誌と商業誌、エロとノーマルで名義を分けている方はそれなりにいますが、今回は桑佳あささんみたいな再デビューパターンに当たるかなと思います。
考えられる限り、別名義で同じ雑誌で新作発表した方はいないと思われます。
例外としては、ガンガンJOKERで主にいろんな原作の作画担当をしている宗一郎さんが「死神様の最期のお願いをRE」で古代甲名義にしたくらいでしょうか。
あとは、コンビ名で最初に活動していたけど、解散して個人名義になったたかなし霧香さんとか南澤久佳さんとかもいますが、この辺りは今回とはあまり関係ないですし。

その他、「絵を描く仕事は続けていく」という表現にしても、「漫画家を続けていく」と書いていないので、もうガッツリ個人で月刊連載という形式で新作は発表しないような感じに受け取りました。
「絵を描く仕事」と書かれているので、原作のみ担当という選択はまずないと思われますが、前述のように作画だけとか挿絵のみとか、あったとしても読み切りだけとか。
少なくとも、スクエニ系雑誌で新連載を持つことはまずないだろうな、と思いました。
せっかく最終巻が出たのに、それは少し残念でした。
でも、引退するわけではないようなので、今後の活動に注目はしていきたいです。
posted by minerva at 10:22| Comment(0) | 漫画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月07日

最近のおすすめマンガ

ここ最近、めっきりコミックスを買うことも減って、最盛期では月に30~40冊は買っていたのですが、ここ最近は10冊程度に落ち着いています。
ただ、1度集め始めたら最終巻まで買うというポリシーは曲げていないので、コミックス1巻を買うときは以前よりも自分の中のハードルを上げていて、本当に手元に残したい作品かどうかを考えてから買うようになりました。
ここ最近は「コミックスREVIEW」の更新もできていないので、そんな中でこれはと思った作品を紹介してみたいと思います。

・約束のネバーランド

約束のネバーランド 1 (ジャンプコミックス)

約束のネバーランド 1 (ジャンプコミックス)

  • 作者: 出水 ぽすか
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/12/02
  • メディア: コミック


ジャンプで連載中の作品で、現時点ではコミックス2巻まで刊行中です。
とある孤児院で暮らす11歳の少年・少女が、実は自分たちが食料として育てられているということに気づいて、孤児院からの脱出を計画する、という話です。
この話が「脱出編」と既に公式に命名されているので、脱出後の話もすでに想定されているのだと思われます。

主人公の少年・少女は非常に頭がよくて(頭がいいことについて必然性もある)、孤児院を監督する大人(ママ&シスター)と様々な駆け引きをしていて、そこに引き込まれます。大人も大人で頭がいいので、お互いボロを出さず、表面上は穏やかに過ごしつつ、それぞれの目的のために動いていく様子は、いつも息をのむ展開で飽きさせません。
印象的には「DEATH NOTE」を読んでいた時の感覚に近いです。

・春の呪い

春の呪い 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

春の呪い 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

  • 作者: 小西明日翔
  • 出版社/メーカー: 一迅社
  • 発売日: 2016/04/25
  • メディア: コミック


「このマンガがすごい2016 オンナ編」の2位に選ばれたことで一気に知名度が上がった作品ですが、そうなる前にコミックス1巻の発行部数が10万部を超えたという告知があったので、見ている人は見ているんだな、というのを実感した作品でした。
マイナー雑誌の新人作家のコミックス1巻なんて、なかなか日の目を見ることなんてないですし。

19歳で亡くなった妹・春の婚約者と交際することになった女性・夏美の物語で、冒頭でタイトルの「春」が人名だったということがわかることが第一の衝撃。その春が亡くなる直前に口から発したのは姉ではなく婚約者の名前で、何よりも妹のことが大切だった夏美にとってそれは絶望の言葉なのだけど、妹の婚約者は実は夏美のことが好きだったというのが第1話でわかる、という内容の濃さに第二の衝撃。
この後は人の心を抉ってくる心理描写が素晴らしく、グイグイ話に引き込んでくるので、完結の2巻まで一気に読めます。
現時点でも品薄状態(特に2巻)に感じますが、いずれ手に入りやすくなるとは思います。

・堕イドル

堕イドル(1) (講談社コミックス)

堕イドル(1) (講談社コミックス)

  • 作者: 山口 アキ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/09
  • メディア: コミック


ガンガンJOKERで掲載された漫画賞原作部門受賞作の読み切り「囚人のジレンマ」の原作者が、実はもうデビューしていたというのを知り、そのデビュー作を読んでみたら非常に面白かったので、ここで紹介します。

アイドル戦国時代の現代で、地下アイドルとしてようやく芽が出始めたアイドルの女の子が、関わると不幸になるという男性と偶然出会ったことで巨大な客船に幽閉され、命を懸けたゲームをすることになる、という話。
この命懸けのゲームの内容が、非常に面白いです。
主催者側から出されるゲームのルールや勝利条件からゲームの本質を見抜いて勝ち残らなければならない、という辺りは「ライアーゲーム」とか「カイジ」に近い感じでしょうか。
ゲームのヒントの出し方も、簡単すぎず難しすぎずのいいバランスで、読者に提示するヒントのさじ加減が非常に上手いです。

「囚人のジレンマ」を読んだとき、この原作者は世に出る才能の人だと思ったのですが、それが思いの外早く現実化したな、と感じました。
作画もかなり絵が上手い人がついているので、これから伸びていく作品ではないかな、と思っています。

・ハッピーシュガーライフ

ハッピーシュガーライフ(1) (ガンガンコミックスJOKER)

ハッピーシュガーライフ(1) (ガンガンコミックスJOKER)

  • 作者: 鍵空 とみやき
  • 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
  • 発売日: 2015/10/22
  • メディア: コミック


もう既刊として4巻まで出てしまっているものの、改めて紹介したいのでここに書きます。
愛が理解できなくて常に満たされない思いを抱えていた少女・さとうが少女・しおと出会って愛を知ることができた。2人は一緒に暮らしながらお互い満たされていくものの、2人の前には様々な障害が出てくる、という感じの話です。

登場人物のほとんどがいい感じの変態でいい意味で狂っていて、いいキャラ揃いです。
主人公のさとうからして、しおのためなら殺人でも厭わない冷徹少女だけどしおの前ではデレデレのギャップ萌え、大人の女性に監禁されて幼女趣味に目覚めた太陽、ドM教師などなど、見所キャラ盛りだくさんです。
話の展開が少し遅めですが、それでいて謎解きは割と早めに出てきたりもするので、いろいろとバランスが取れている感じはします。
posted by minerva at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月11日

コミックスREVIEW・更新

本日の更新は「コミックスREVIEWのお部屋」に以下の作品を追加しました。

「アルスラーン戦記・荒川弘・講談社」
「金田一少年の事件簿R・さとうふみや・講談社」
「シークレット・外海良基・スクウェア・エニックス」
「第三次性徴期大塚くん!・君塚力・スクウェア・エニックス」
「魔法使いの嫁・ヤマザキコレ・マッグガーデン」
「ROSE GUNS DAYS Season3・大村陽・スクウェア・エニックス」

差し替え作品
「イルベックの精霊術士・石動あゆま・一迅社」
「階段途中のビッグ・ノイズ・亀屋樹・スクウェア・エニックス」
「楽屋裏-貧乏暇なし編-・魔神ぐり子・一迅社」
「カッコカワイイ宣言!・地獄のミサワ・集英社」
「がんばれ!消えるな!!色素薄子さん・水月とーこ・一迅社」
「switch ドラゴンフルーツ編・naked ape・一迅社」
「装甲悪鬼村正 魔界編・銃爺・マッグガーデン」
「ROSE GUNS DAYS Season1・宗一郎・スクウェア・エニックス」
「ROSE GUNS DAYS Season2・夏西七・スクウェア・エニックス」
「ローゼンメイデン・PEACH-PIT・集英社」


今回のお勧め1作目は「アルスラーン戦記」です。

アルスラーン戦記(1) (少年マガジンコミックス)

アルスラーン戦記(1) (少年マガジンコミックス)

  • 作者: 荒川 弘
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/04/09
  • メディア: コミック


古代ペルシャを舞台にした歴史ファンタジーで、田中芳樹さん原作の小説を荒川弘さんがコミカライズした作品です。
原作はもう20年くらい前のもので(まだ完結していませんが)、コミカライズもこれが初めてではないのですが、前のコミカライズと比べるとこちらの方が格段に面白く仕上がっています。
前作はいろんな制約があったのか、序盤は小説1巻分をコミックス1巻にまとめるというかなり圧縮された作りで、あのエピソードもない、このエピソードもない、と原作ファンにはちょっと厳しい内容でした。後半はかなり余裕を持った展開にはなったのですが、あまり遊びの部分はなかったように記憶しています。
それで今作はというと、原作エピソードに加えてオリジナルエピソードも入っていて、かなりじっくり丁寧に描かれています。それが物語の厚みを増している作りなので、これなら原作ファンも納得、という感じです。
絵に関しても、前作は少女漫画だったというのもあって、戦争を描いた作品でもそこまで残酷な描写もなく、甲冑デザインも古代ペルシャというより中世ヨーロッパみたいな感じで、結構普通のファンタジーに出てくるような感じでした。
それが今作ではキッチリ時代に合ったものになっていて、同じ原作でも結構違うなぁ、と感じました。
おそらく原作第一部完のところまで描かれると思うので、じっくり楽しみたいと思います。

お勧め2作目は「第三次性徴期大塚くん!」です。

第三次性徴期、大塚くん! (1) (ガンガンコミックスONLINE)

第三次性徴期、大塚くん! (1) (ガンガンコミックスONLINE)

  • 作者: 君塚 力
  • 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
  • 発売日: 2014/03/22
  • メディア: コミック


14歳のときに事故で昏睡状態になり、26年後奇跡的に目覚めた大塚くん。
見た目は40歳、中身は14歳のまま中学校に復学することになる、という話です。

そんな状態での復学なら夜間中学とかの方が……など細かいツッコミはなしにして、大塚くんは普通に学ラン着て、普通に中学に通い始めます。
体育では年のせいで体が思うように動かなくなっていたり、授業中は加齢臭を気にしたり、放課後は合法的にHなDVDを借りてみたり、といろんなエピソードが面白いです。
話のテンポもいいですし、バカバカしいことが素直に楽しめる作品です。

お勧め3作目は「魔法使いの嫁」です。

魔法使いの嫁(1) (ブレイドコミックス) (BLADE COMICS)

魔法使いの嫁(1) (ブレイドコミックス) (BLADE COMICS)

  • 作者: ヤマザキコレ
  • 出版社/メーカー: マッグガーデン
  • 発売日: 2014/04/10
  • メディア: コミック



天涯孤独で絶望の中生きてきた少女・チセはとあるオークションにかけられ、人外の魔法使い・エリアスに買われる。
エリアスはチセを自らの弟子に、そして嫁にすると宣言する、という話です。

雰囲気が非常にいい作品で、魔法使いの世界の不思議で切ない感じが常に画面から溢れ出ていて、いい感じです。
コミックスは既にかなり売れているようで、ブレイド本誌にはもう20万部突破したとありました。
ここ最近極端に発行部数が少ないのでは?、と感じていたブレイドコミックスの中では異例の売り上げなのではないかな、と思います。
今後ブレイドの柱になっていく作品になりそうです。


完結作品の中での注目作、1作目は「階段途中のビッグ・ノイズ」です。

階段途中のビッグ・ノイズ(4) (ビッグガンガンコミックス)

階段途中のビッグ・ノイズ(4) (ビッグガンガンコミックス)

  • 作者: 越谷オサム
  • 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
  • 発売日: 2014/05/24
  • メディア: コミック


無事きれいに完結していて、非常に読後感のいい終わり方となっていました。
最終巻は今まで積み上げてきたものの集大成と、いろんな謎解きがあって凄く楽しめました。
以前ヤングガンガンで連載されていた「戦線スパイクヒルズ」同様、スクエニ系では原作が既に完結しているものをコミカライズすると凄くいいものができるのではないかな、という気がします。
逆に、ゲームなどの発売と同時にメディアミックス展開でのコミカライズ作品というのは、あまりいいものがない印象ですが。

2作目は「がんばれ!消えるな!!色素薄子さん」です。

がんばれ! 消えるな!! 色素薄子さん(12) (IDコミックス REXコミックス)

がんばれ! 消えるな!! 色素薄子さん(12) (IDコミックス REXコミックス)

  • 作者: 水月 とーこ
  • 出版社/メーカー: 一迅社
  • 発売日: 2014/02/27
  • メディア: コミック


連載の入れ替わりが非常に激しく、雑誌コンセプトがふらふらし続けたREXにおいて、ここまできれいに終わる作品が出たのは、素直にうれしかったです。
主人公の色素薄子さんが大学に入学し卒業するまでを、話のペースが落ちることも早まることもなく、キッチリ描き切ったのは本当に素晴らしいの一言。
後日談は限定版でしか読めないというのが少し残念でした。
posted by minerva at 15:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする