小高和剛さんが関係しているADVならプレイしてまずハズレはないだろう、と思っているので、今作も発売日直後くらいに買ってすぐにプレイしました。
基本的にSwitchのソフトはDL版を買うので、「伊達鍵は眠らない」みたいにすぐセールで価格が落ちてしまう前にクリアしておきたかった、というのもありました。
主人公は記憶を失くした女の子で、一度は死んだものの神の力で蘇ったと冒頭で2人組の天使に知らされます。そして、仮の名前として下辺零と名付けてもらい、自分は終天教団という宗教団体の教祖で、教団幹部5人のうちの誰かに殺されたらしく、生き返るためには犯人を特定しないといけない、と聞かされます。
それで、5人の幹部1人1人と接触して教祖殺害事件の手がかりを手に入れつつ、幹部それぞれが抱える問題に巻き込まれていくのですが、この5人それぞれのストーリーでゲームシステムが違っていて、それぞれがそれなりに面白くボリュームもあって、素晴らしかったです。
総プレイ時間は45時間くらいだったのですが、全てのボイスをキッチリ聞いたら50時間は越えると思うので、ADVでもこれだけボリュームのあるゲームって結構久しぶりというのもあり、そこもまたよかったです。
まずは、プレイした順に各ルートについてのネタバレなしの感想です。
犬神軋(法務省ルート)
教祖殺害事件の第一発見者ということで、まず最初に話を聞いてみたいな、と思って選択しました。
このルートは推理アドベンチャーで、とある名家で起こる連続殺人事件の犯人を見つける話でした。
システムは「逆転裁判」と「春ゆきてレトロチカ」を合わせたような感じで、捜査パートで証拠品を集め、会議パートで証拠品を示したり合体させたりして話は進んでいく形でした。難易度的にはそこまで難しくもなく、選択ミスを重ねるとゲームオーバーになるものの、直前からリトライ可能なのでストレスはありませんでした。
ただ、正解とは別の証拠品でも証明できると思われるのに不正解扱いになるっていうのもあったりして、若干詰めが甘い感じもありました。
丑寅幽玄(保健省ルート)
犬神ルートで、教祖殺害に使われた凶器は丑寅が持っている、という情報が出てきたので、2番目に選びました。
このルートは脱出ゲームで、デスゲームに参加させられた零たちがパズルや謎解きをしながら謎の施設での生き残りを目指す話となっていました。
所々に一発アウトの選択肢が用意されていたりもして、その辺りデスゲームらしくてよかったです。
パズルの難易度は最後の方が割と高めで、ブロックパズルは解くのにちょっと時間がかかりました。ヒントが出るとかの救済措置がないので、苦手な人はきついかも、でした。
また、ルート的に脱出ゲームを謳ってはいるのですが、部屋の中のアイテム調べて組み合わせて……みたいな脱出ゲームが1ヶ所しかなかったのは少し残念でした。
伊音テコ(科学省ルート)
犬神・丑寅がゲーム画面的に左1・左2に配置されていたので、ここからはもう順番でいいやと思って中央の伊音を選びました。
このルートはザッピングノベルで、複数の登場人物の視点を変えつつストーリーを進めていき、所々で行動を変えることでバッドエンドを回避しながら進む、という「街」とか「428」みたいなシステムでした。
個人的にはこのルートが1番面白くて、全選択肢を選んだり、全バッドエンドを見たり、完璧になるまでやり込みました。
難易度自体はそこまで高くなく、コツを掴めば詰まることはなかったです。
黒四館仄(文部省ルート)
このルートは恋愛アドベンチャーで、3人の女の子と交流しつつ、他の女の子の機嫌を損ねないようにそれなりに相手をしながら目的の女の子を落とす話でした。
「ときめきメモリアル」に近い感じで、女の子との交流にターン制限があるのと、最後口説き落とすときに選択ミスを重ねると交流のところからやり直しになるのがちょっときつめな仕様でした。
このルートに関しては、ストーリー的な面白さが薄めで残念でした。
ただ、女の子との交流中に女の子と関係のない場所に行くと、終天教国についてモブキャラが教えてくれることがあって、そこは割と好きでした。この国では天気予報が絶対当たるとか、信仰心のおかげで食事をしなくてもいいけど食事をすることも出来る、とか。この辺り、ちゃんと伏線でした。
伏蝶まんじ(警備省ルート)
このルートはステルスアクションホラーで、攻撃できない相手から逃げつつアイテムを集めて目的地に辿り着く、という「クロックタワー」に近い感じでした。
敵の足が割と速い、罠などの判定がわりと大きめで避けたと思っていたのに当たっていた、というのがあって、難易度的にはちょっと高めでした。
また、ストーリー的な面白さも薄めでした。
この5ルートの個人的な面白さとしては、科学省>>法務省>保健省>警備省>文部省、でした。
科学省ルートは伊音テコのキャラの良さに加え、サブキャラもかなりよかったですし、ストーリーの捻り方とか、私の中では頭一つ抜けていました。
また、各ルートで教祖殺害事件の証拠の他、終天教団という教団とはどういう組織なのか、教団員たちが住んでいる終天教国とはどんな国なのか、ということについてそれぞれ大きめの謎解きが配置されているのですが、それを踏まえると攻略順は、保健省→科学省→文部省→警備省→法務省がよかったかな、と個人的には思いました。
どこからプレイしても大丈夫な作りではあるのですが、保健省の謎解きを最初に見ておくと、他のルートの見え方が変わってくるというのがありますし、どうしてそういう言い回しをしているのか、というのがわかるので、1番最初は保健省がお勧めかな、と。
あとは、教祖殺害事件のヒントは法務省ルートで1番多く出てくるので、最後の謎解きに向かうに当たって、法務省は最後に見ておいた方がいいかな、と。
それ以外は割とどれでも大丈夫ではあるのですが、文部省の後に警備省の方がいいかな、とは思いました。
では、ここからネタバレありの感想です。
まずは5人の幹部の中から犯人を捜すというのがこのゲームの目的なのですが、5ルートを終えて犯人探しの会議が始まっても、本当に犯人はこの中にいるのかな?、と思っていました。
初登場時の幹部5人が全員が全員胡散臭いのに加え、味方であるはずの天使2人もそれなりに胡散臭いので、とりあえず誰も信用できない、というのがまずあって、でもここで第三者が犯人って出てくる展開はなさそうだったので、5人の中に犯人がいるのだろうな、と思うようにしました。
それで、犯人を絞っていくに当たって、各ルートで示された幹部毎の性格を見ていくと、伊音テコと丑寅幽玄が犯人っていうのはないだろうな、と感じました。
伊音テコは教祖の親友で、幹部の中でも1番古くからの付き合いがあって、教祖殺害事件のことを尋問したときも犯人らしさみたいなのがなかったです。
ゲーム中で1番グッと来たのが、教祖との約束「地上を再び植物や動物などの生命で満たす」というのを果たすためにずっと研究をしてきたという部分で、自作ロボット・アラレが消滅してしまったかも、となったときにアラレが森の中で笑顔で遊んでいる姿を想像するシーンが出てきたときは泣きそうになって、そういうキャラが殺害はないな、と。
丑寅幽玄は、全ては妹のために、という行動原理があったので、教祖殺害事件が起きたときに妹がまだ生きていたというのもあって、あり得ないだろう、と。
残り3人のうち、黒四館仄と伏蝶まんじがお互いに教祖殺害事件が起きた時間帯のアリバイを証明し合っていたので、おそらくはこの2人のうちのどちらかが犯人だろうな、と感じました。
法務省ルートで教祖殺害現場を調べたときにおおよそのトリックがわかったので、これはアリバイがある方が怪しいだろう、と。
それで、教祖殺害の動機がありそうなのが黒四館仄だったので、犯人は黒四館だろうな……と思っていたら、ハズレました。
最後の犯人を推理する会議で、殺害場所の推理をする辺りまでは黒四館で間違いなさそう、と思っていたのですが……その後ひっくり返りました。
遺体を風船で飛ばした、というトリックは予想がついていたのですが、それが中央公園に落ちた理由がわかったときに、これは黒四館はない、となって、気付きました。
なお、風船の浮力で直径20センチ程度の煙突から腿下の足1本を空に飛ばせるのかな?、と思ったりもしましたが、ドロイドの体は人よりもすごく軽いのだろう、と勝手に脳内補完して自分を納得させました。
ついでに、画面上では教祖の遺体パーツに複数個の風船がついていたのですが、それって煙突の穴を通るのかな?、とも思いましたが、縦に長く繋いだ、と考えることにしました。
それで、犯人が確定したらすぐにエンディングだろうな……と思っていたら、そこからが長くて、おおよそ10時間くらいの謎解きが始まって、思いの外長いな、といい意味でビックリしました。
5ルートの中で、終天教国で暮らしているのは全てドロイドであるとか、終焉カウンターで刻んでいるのは残りの人間の数だとか、終天教国はドームに覆われているとか、大きめの謎解きがあったわけですが、なぜそういうことになっているのか、そもそも零が目覚めるのがいつもホテルの一室なのはなぜなのか、などなどの謎も残っていて、それを最後で一気に回収していく流れは素晴らしかったです。
そして、最後の最後で人間を助けるのか、ドロイドを助けるのかを選ぶエンディング分岐選択肢が出てくるわけですが、これもうドロイドを助ける一択じゃん、というのが私の中の答えでした。
そもそも零はドロイドの国を作るために戦っていたわけで、それでようやく国を作って安定させられるところまで行ったと思ったら人間が異教徒を送り込んだりして邪魔してきたわけで。
例えば「ドラゴンクエスト5」の花嫁はビアンカを選ぶような、「ラジアータストーリーズ」で妖精ルートを選ぶような、そんな一択しかない選択肢みたいなものじゃん、と思っていたのですが、用意されているものは見てみようってことで人間を助けるENDも確認しました。
そうしたら、人間ENDも意外と良くて、改めて人間とドロイドが手を取り合って未来を目指そうっていう感じで、人間もドロイドをちゃんと評価しているところとか、よかったです。
ラストシーンの良さで言ったら人間ENDの方がグッときました。
教祖殺害事件についてはちょっと詰めが甘いというのはありましたが、それ以外のストーリーは素晴らしく、久しぶりに長く楽しめたADVで、満足できました。
2026年02月03日
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