もう20年以上前の話で、このブログを始める前の日記に1度書いたことがあるのですが、割と強烈な出来事で今でも強く記憶に残っているので、もう1度記しておこうと思い、書くことにしました。
当時私は某空港のシステム開発を担当していました。
空港というのは、当たり前ですが昼に飛行機が飛ぶので、いろんなシステムは昼に稼働しています。なので、システムを入れ替えるとなると夜に行う必要があります。
ということで、しばらくの間空港で夜勤をしていました。
当時は、夕方に空港に向かい、始発で帰ってきて寝る、という生活でした。
それで、空港からの始発電車に毎日乗るわけですが、空港発の始発電車にはほぼ誰も乗っていません。
始発電車に乗るのは、同じように夜勤をしていた人、もしくは飛行機が遅れて終電に間に合わなくてやむなく空港で一晩過ごすことになってしまった人、くらいなもので、一両に1人乗っているかいないか、くらいのものでした。
ということで、座席選び放題になるので、乗換駅の階段に一番近い場所で仮眠を取りやすい席というのを3日くらいで発見し、毎日その場所に座って帰る、というのを繰り返していました。
そんなある日。
いつものように駅で始発電車を待っていると、ふと後ろに人が並ぶ気配がしました。
その日も一両に1人いるかどうかくらいの人しかホームにいなかったのですが、この状態で並ぶ必要あるの?、という疑問がまず浮かびました。
でも、この人も乗換駅で階段に一番近い場所を知っているのかも、と思って、とりあえずきた電車に乗り込みました。
これでさすがに隣に座られたら困ると思っていたものの、ドア近くの対面に座ったので、まあまあこういう状況もあるだろう、と思って、そのまま仮眠に入ることにしました。
そのときは冬でマフラーをしていて、それがいい感じに首枕のようになって、乗換駅までの30分くらい仮眠できるのですが、そのときは眠気があるもののなぜか眠れなくて、手すりにもたれかかりつつ目を閉じているだけになっていました。
その状態が10分くらい続いて、やっぱり前に座っている人が気になるから眠れないのだろうな、と思ってちょっと薄目を開けて前を見てみると、男の人がチラチラこちらを見ながら手を動かしている様子が見えました。
で、ちょうどそのとき電車がトンネルに入って、窓ガラスが鏡のようになって、窓に男の人の手元が写りました。
なんと、スケッチブックに私の寝顔を描いていました。
窓ガラスの反射なのでそこまではっきりとは見えませんでしたが、全体的な輪郭と首にマフラーを巻いている絵が見えて、このときばかりは心底ゾッとしました。
とりあえず、今すぐこの場所から逃げ出したいと思ったのですが、ここは電車の中という閉鎖空間で、同じ車両には目の前の男性と自分しかいない、次の駅で降りたところで乗り換えられる電車はなく、乗る人も降りる人もほぼ皆無だろうという早朝ということで、むしろ移動した方が危険かもしれないという状況でした。
空港の駅にいたときから狙われていたのかという恐怖もありましたが、危害を加えられているわけではなくただ気持ち悪いという中途半端な状態で、ひとまず頭の中では乗換駅で降りた後、家までのあらゆる迂回ルートを考えつつ、これ以上絵を描かれないよう顔を伏せて寝たふりをしつつ、ただひたすら乗換駅を待ちました。
乗換駅に着いたとき、本当ならダッシュで逃げたかったのですが、そのときは大量の荷物があって旅行カートを引いていたのと、乗換駅のホームには大勢の人がいて走れないというのがあったので、まず真っ先にホームに出て、後ろに立たれないように旅行カートを後ろにおいてエスカレーターに乗り、とりあえず乗り換える電車のホームに行きました。
ここで後を付けられていたら怖いので、ホームの一番端に移動して先頭車両に乗り込み、誰もついて来ていないことを確認して、電車が動き出して、ようやくホッと一息つきました。
で、ふと旅行カートを見てみると、持ち手の窪みに飴が置いてあることに気が付きました。
あれ、飴は普段持ち歩いているけどこんなところに落としたっけ?、となってその飴を手に取ってみると、
〈この出会いに感謝して 090××××……〉
というメモが張り付けてあって、更にゾッとしました。
この飴はとりあえず日記のネタにしようと思って写真を撮った後ですぐ捨てました。
当時使っていたパソコンを探せばまだデータが残っているとは思うのですが、見つけたら何かがあるわけではないので、探していません。
今更思えば、似顔絵描きの人はそういう飴を何個も仕込みで持っていて、気に入った人の似顔絵を描きつつこっそり渡す、というのを日々繰り返していたのだと思います。
私がたまたま旅行カートを持っていたことで、空港で働いている人ではなく旅行者というように見えたこともターゲットになってしまった理由だったと思うのですが、こんな出会い方をして、よし連絡してみよう、なんて人がいるのかどうなのか……非常に疑問でした。
おそらくこの人が、人生で出会った1番わけのわからない出会いの方法を使っている人だったと思います。
2025年05月08日
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

